レポート
2023.08.07

佐渡の海藻調査隊②

海藻と海藻を育む海の環境を学ぶ「佐渡の海藻調査隊」を7月26日、27日の一泊二日で開催しました。

【2日目】佐渡の郷土料理「いごねり」が育つ海とは

調査は2日目。
「いごねり」は原料の「エゴグサ」と水を煮詰めて冷やし固めたもので、佐渡を代表する郷土料理です。
株式会社早助屋(はやすけや)は、佐渡で一軒だけの「いごねり」を専業で製造する企業です。
四代目見習いの山内三信さんによると、冠婚葬祭に欠かせない料理で、
かつては各家庭でも作っていたそうです。
エプロン、三角巾を身に着けた参加者は、冷えたいごねりの袋詰めを体験、
山内さんの案内で乾燥させた原料エゴグサの倉庫を見学すると、天井まで積まれた在庫に驚いた様子でした。
エゴグサは自生せず、ホンダワラなどの大型海藻に絡みついて育つ生態のため、
海洋環境の変化で、海藻類の減少が起きるとその影響を受けてしまいます。
素材の味がそのまま製品となることから、山内さんの環境への熱い想いを聞き、参加者たちも同じ想いをもっ
てくれたようです。

佐渡では定番ナガモ(アカモク)養殖とブルーカーボンの可能性

佐渡ではナガモを使った料理が定番で、
ナガモうどんやナガモそば、宿の夕食でもナガモの味噌汁が出ました。
ところがこの春、佐渡ではナガモの深刻な不漁が起きてしまいました。
地球の温暖化による海水温も上昇、影響のひとつと考えられていますが、
ナガモ安定供給のため新潟県も養殖技術開発で後押ししています。
内浦漁業集落にある白瀬種苗(しろせしゅびょう)生産施設では、
新潟県水産海洋研究所増殖環境課の主任研究員濱岡秀樹さんを講師に、
海藻種苗生産現場を見学、さらに冷凍保存していた成長したナガモを実際に触り、ねばねばを確かめました。
濱岡先生によると、このねばねばが炭素を固定します。
海藻養殖もブルーカーボンにつながることが説明され、
養殖された海藻を食べることも地球環境の助けになります。

漁船に乗って沖合のワカメ養殖ポイントへ

参加者は二手に分かれ、漁船で300m沖合へ。
海上では、ビニール袋に包まれたワカメ種糸がロープに結びつけられ海中で養殖されています。
講師の佐渡潜水正司会長によるとワカメの生育には、
水温低下によって成長スイッチが入ることが必要で、これらのワカメは冬を前にさらに沖へ移動させるそうです。
海水は表面から冷えていくことから、従来よりも浅い水位で育てるなど漁業者間では、
高水温に対抗した養殖技術の共有も盛んになっているそうです。
一方、陸上では、波が強い場所、穏やかな場所、
また十分に生育しなかったなど異なる環境で育ったワカメ標本を教材に、
海藻が海洋環境に大きく影響を受けることが県水産海洋研究所の濱岡先生から説明されました。
参加者はこの漁船体験で全ての体験を終えたことになります。

調査のまとめ~海藻レポートの作成と発表

調査の締めくくり会場は両津港にほど近い佐渡島総合開発センターの大集会室です。
2日間の学びを元に海藻の大事な役割や新しい食べ方のアイデアを
各グループごとレポートにまとめ、発表します。
はじめに佐渡地域振興局農林水産振興課副参事の唐木沢秀之さんと一緒に学びをおさらいです。
話の中では海藻の分類方法として、緑藻(りょくそう)、褐藻(かっそう)、紅藻(こうそう)と
色別に3種に分ける方法も説明され、参加者は食べたり、
触った海藻を分類しながら記憶をさかのぼっていました。
また、佐渡総合高等学校が関わる「海藻の新しい活用を考えるプロジェクト」の紹介があり、
3年生6名が学びのサポーターとして各グループに加わってくれました。
6人はプロジェクト活動の一環で、海藻を使った調理実習なども行ってきたそうで、
調査隊にとっては強い援軍です。グループごとに気づいたこと、アイデア出しを行い、
いよいよ新メニューの発表。2つのメニューを考案したグループもあって、発表のスタイルも様々です。
使う海藻もそれぞれで、給食らしく献立一式を考案したグループ、海藻スイーツを推すグループ、
また歯ごたえがある「アラメ」も人気でした。
発表された海藻新メニューは、給食材料を扱う株式会社給材を通じて
新潟市内を中心に小学校の学校給食として提案します。

\ 記事をシェアしよう /
X LINE ニュースを共有

関連リンク

【海のキッズサポーター】11月1日解禁【アキアミ】
レポート
2024.11.18

【海のキッズサポーター】11月1日解禁【アキアミ】

健康づくりに繋がる運動に海岸清掃を提案!
レポート
2024.11.15

健康づくりに繋がる運動に海岸清掃を提案!

ページ内トップへ